またまた連休の白馬


                          くろべえ

【1998年5月4日〜5日】

【天気  】 快晴

【メンバー】 くろべえ & 他4名

【レポート】

同人の若手2名が白馬岳の東面を滑るという。なんと山頂から懸垂下降で

1ピッチ下降してから滑り出すというので、見物とサポートを兼ね、自分も

白馬周辺で遊ぶ事にした。

猿倉の駐車場では、霧で小雨があたっていた。のっけから気がそがれる天

気だが、Kさんの

「予報では晴れですからそのうちにあがりますよ」

という言葉で出発した。その言葉どおりすぐに霧の合間から白馬山頂と青空

が見えてきた。白馬の東面、2号雪渓は彼らの何年ごしかの課題であり気合

が入っている。こちらは、彼らの荷物でもおろしながら白馬の周辺でいい斜

面でも見つけて遊ぼうという気持ちなので気楽なものだ。

好天のなかではあるがさすがに標高差1500mの登りはこたえ、白馬山

荘に14時30分着。すぐに山頂へ偵察にいく。山頂手前の松沢貞逸のケル

ンから東面をのぞき込むと、彼らの顔色がくもる。急なのは承知のうえだが、

雪渓の中ほどに大きなクレバスが見え、降り口にも不安定なブロックが引っ

かかっている。決して良い状態ではないようだ。いろいろと考えたが、今年

は中止することにした。正直なところ、賢明な決定だったような気がする。

後から外人のスキーヤーが2人あがってきて同ルートを覗き込んでいたが、

彼らは滑ってしまったようだった。私たちはまた来年やればいいさと思った。

山頂では主稜をあがってくるクライマーが続々とやってくる。満足そうな

会話を聞いていると、私たちも少し残念な気がした。

周囲を見渡すと、白馬旭岳の東面に良い斜面があるのが見えた。シュプー

ルもついているようだった。明日はみんなで旭岳と柳又谷源頭を滑ろうと話

す。小屋に戻り、夕日をみながらビールで乾杯となる。

小屋は非常に快適だったが、ひさしぶりに山のうえで泊ったせいか、気持

ちが高ぶってしまいなかなか眠れなかった。12時ころ外にでてみると明る

い月夜で、まわりの山々が白く浮かんでいた。富山湾の漁船のあかりが見え、

神秘的だった。他のメンバーはまったくおきる様子もなく熟睡であった。

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あけて5日、子供の日。2号雪渓のプレッシャーから開放されたメンバー

の顔は明るい。小屋の前からがりがりのアイスバーンを滑って、旭岳との鞍

部までいく。南東側の斜面をシールであがっていくが、まだアイスバーンで、

私は恐かったのでスキーを外し、アイゼンで上がってしまった。今回スキー

初おろしのHさんはビンディングのトラブルがあり、途中でリタイア、図太

い他のメンバーはスキーのまま旭岳まで上がってしまった。

山頂から東面のルンゼをのぞき込むと、急ではあるが、いままで滑ってき

た斜面と同じ程度に見えた。若手2名に「滑ってしまえ」とけしかけて、自

分は写真撮影に回ることにした。さっきまでアイスバーンだった雪も緩んで

きたようである。2号雪渓のメンバーは東面の急なルンゼを、残りは南面を

滑った。南面もなかなか良い斜面である。

降りてくると東面を滑った2名が山岳雑誌の記者につかまっていた。しか

しメンバーが野郎ばかりなので、きっと記事はボツになるだろう。

その後は、柳又谷の源頭で遊んだが、ヨーロッパアルプスを彷彿とさせる

ロケーションと落石のない白い斜面に、なんとも良い気分だった。

 午後から大雪渓を滑降する。柳又谷に比べると雪がくさっており、いまい

ちの感があったが、それでも登り5時間を費やしただけのボリュームがあっ

た。

 あまりの寡雪に、いま一つ乗り気でなく登った白馬だったがどうしてどう

して、すばらしい連休を与えてくれました。

                    くろべえ

とりあえず