ぶなの森同人親分 山川氏からのレポート 単独につき滑走シーン無しあしからず
頚城山群、火打山から北面に滑降するルートは、標高差2000mを滑降で
きる国内でも有数のツアーコースである。今回、最も雄大である、という評価
で最近注目されている、影火打からのコースを試みた。
車で笹が峰まで乗り入れる。今年は残雪が多いため除雪が遅れており、笹が
峰の牧場の駐車場まで入れず、登山口の300mほど手前で除雪が終わってい
る。入山する人は多いらしく路上駐車の車が多い。できるだけじゃまにならな
い場所に駐車してスキーをつけ歩き出す。
1時間ほどで黒沢を渡る地点に至る。夏道はここから十ニ曲という急登を行
くがそこはスキーが使いにくいので、黒沢を上がることにする。黒沢は例年5
月連休くらいまでは問題なく通過できるそうだ。登山道が沢を渡る地点では少
し割れて水流が出ていたが、少し上がると完全に埋まった雪の斜面になる。こ
れは登り易い。途中5mくらいの滝があり、滝頭が少し出ていたので、スキー
を外し側壁を巻く。標高1900m位から左手に緩斜面が広がっているのでそ
こを登っていくと簡単に富士見平に到達できる。
高谷池ヒュッテには9時10分に到着。今日のルートの状況を聞こうと思っ
て立ち寄ったが、ヒュッテの築田さんが不在で聞くことができなかった。
火打山頂には10時30分到着。十数人のスキーヤー、登山者で賑わってい
る。普通の登山者より圧倒的にスキーヤーの方が多い。これから向かう影火打
コースの様子が気になるのだが、ここからではどこをいくのかよく分からない。
火打山頂から焼山に向かう尾根をハイマツを避けながら、影火打とのコルま
で滑降。さてここからがいよいよ核心である。コルから北西側に延びる緩傾斜
帯を進む。途中1個所緩傾斜帯が途切れるようなところがあるが、そこを横切
り進む。焼山を正面に見て快適なザラメ雪の滑降となる。
この谷は下部で滝を持っていて降りられないので、標高2000m地点で一
つ右の谷に移らなくてはいけない。ここがこのルートで最も注意を要する場所
だ。高度計の針を見ながら1ターンごとに谷の右端に寄りのぞきこんで見る。
高度計の針がちょうど2050mをさしたあたりで今までの谷の右端の尾根に
別の谷が這い上がってきている地点にかかる。しかもシュプールがある。ここ
だ間違いない。喜んで滑り込む。クラストしている場合はロープも必要、と聞
いていたのだが、ザラメ雪のこの時期は、非常に快適な斜面である。あとは締
まった雪を快適に北面台地まで飛ばす。
標高1350mあたりで賽の河原を渡る。大きくU字型にえぐられた谷で、
雪が少なくなると渡るのは難しそうである。今日はかろうじて傾斜の緩い部分
をよじ登って超える。ここでひと休みするが、降りてきたルートが驚くような
高さに見上げることができる。あんなところから滑ってきたのだなあと感慨に
浸れる場所だ。本当にスキーの威力はすごいと思う。しかし活火山の焼山も間
近で、もし噴火したら火砕流の餌食になってお陀仏は間違いない。
あとは焼山北面台地を滑っていけばよい。が、結構地形が複雑で、すんなり
滑って降りるには年期が必要である。初めてここを通過する私は、登ったり降
りたり、結構歩かされた。北面台地は傾斜は緩くスキーとしての快適さはいま
一つだが、あまり類を見ない風景でなかなかいいところだ。何張りかテントが
張ってある。こんなところでのんびり連休をすごすのも悪くないだろうなと思
う。途中からは夏の林道と思われるところを滑り、眼下に笹倉温泉を見下ろす
あたりで滑降終了。笹倉温泉まであるく。バスの待ち時間がえらくあるので風
呂に入り、1人でビールで乾杯する。
湯川内のバス停でバスをまっていると1台のRV車が止まり、糸魚川駅まで
ならのっていきませんか?と言ってくれた。ラッキー!ご好意を受け、駅まで
送ってもらう。北面台地でテントを張っていたパーティーであった。なんとな
く充実した気分で列車に乗り込んだ。
【頚城 火打山影火打コース】
4月30日(日)
山川(単独)
【コースタイム】
笹が峰(6:05)−−−黒沢(7:00)−−−富士見平(8:30)−−−
高谷池ヒュッテ(9:10)−−−火打山(10:30〜10:50)−−−焼山北面台地(11:50)
−−−笹倉温泉(13:10)