ロッジ北林。信州白馬の宿。白馬岩岳の宿。スポーツ&文化系合宿の宿。グラウンドがある宿。自家栽培を中心としたお食事の宿。

Mountain Report

ウィンターシーズンが終了したと同時に、白馬には山のシーズンが到来します。北アルプス後立山白馬連峰は3000メートルの稜線を歩く本格的な登山から、山麓のいわゆるトレッキングのどちらを取ってもシーズン、目的やスケジュール、年令、体力に合わせて沢山のバリエーションで人々を魅了してきました。素晴らしい白馬連峰に是非一足踏み込んでみて下さい。ここでは僕の好きな山岳スキーを中心にした体験レポートを掲載しています。

蓮華温泉 2012春

2012蓮華温泉 露天風呂

左上 仙気の湯  極楽

左下 仙気の湯  おまけ

右上 湯煙の露天周辺

 

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蓮華温泉 エキスパート編

白馬エリアの中でポピュラーな山スキーコースのひとつが蓮華温泉ツアーコースだ。コース、ロケーション、バリエーション、そして何と言っても最大の魅力は温泉だ。1500m付近にたたずむ蓮華温泉ロッッジは豊富な湯量とその上部に点在するそれぞれ異なった泉質をもつ天然の露天風呂も合わせ、発汗と疲労を覚えた身体にとてつもないパワーと回復力を与えてくれるのだ。そこは昔天然資源の硫黄を採掘した歴史のある場所であるが、詳しくは他の書物等を参考にしていただきたい。栂池高原より天狗原、振子沢、蓮華泊、角小屋峠、木地屋、大所、平岩というコースが一般的だが、白馬大池あるいは乗鞍沢から入山しまたそちらのいずれかのコースを登り返すというパターンもありだ。バリエーションとして雪倉岳、朝日岳、五輪岳等を蓮華温泉をベースにして滑る事は時間の有る者ができるこれまた素晴しいルートである。 さて、ここではそんなポピュラーなパターンとは違う欲張りコースを紹介する。1泊で雪倉を滑る少しハードな山行だが内容のあるリッチでタフなコースだ。栂池ゴンドラ、ロープウェーと乗継ぎそこから一路目標を自然園にとりそこから稜線の通称船越の頭を目指して登高する。2時間〜2時間半といったところ。稜線に出たなら夏道なりに稜線の右側よりを小蓮華までアップダウンをくりかえしながら登る。左に白馬〜鹿島までそして大雪渓、右に雪倉、赤男、朝日、五輪とパノラマを満喫しながらだが、信州側の雪比と小蓮華手前からのアイスバーン、それと雪解けが進んだ這松のぼみ穴には十分注意が必要だ。スキーシールはこの先三国境までつけたままにして短い下りを上手く滑らせてクリアする、くれぐれも急な角度はヒールフリーだという事をお忘れなく踵加重でだ!。
 栂池自然園上部稜線手前大雪渓を望む

 小蓮華岳  白馬岳が目の前に     
 小蓮華まで4時間強か、非対称山稜の信州側はいつみても迫力満点だ!白馬岳が近い。ここからさらに三国境まで近いようだが、けっこう乳酸がきているので訳40分程は見ておこう。どんどん白馬岳が近くなるが三国境でシールを外しサヨウナラ、一路北へ鉢ヶ岳を目指しいったん下降する。 鉢までは這松が多く雪がトギレトギレだが少々の石などはスキーを着けたままわたる。完全に雪が途切れた場所はしかたなく板を脱いで移動だが疲れていていかんせん面倒くさいのだ。さあ鉢が近くなってきて西日の当たる場所から東側の斜面を高度をなるべく落とさぬ様長いトラバースをする。ここがこの山行でも雪崩の危険がある場所、日があまり当たらず不安定&急斜面を左に見ながらの斜滑降は充分きをつけてダッシュで通過しよう。ここにきての高度を上げ気味の移動はかなりきつい、自分にハッパをかけながらの移動だ。目の前が開けてきてやがて雪倉岳への登り返しの夏道と取り付き付近に避難小屋が見えて来る頃になればもう足は棒のようだ。
 

 雪倉避難小屋 歩き始めて6時間
 
 ここで一旦雪が完全にとぎれる、スキーを外してザックにセットし雪倉ピークまでおよそ1時間の登りだ。足が重い、風も強い、シール登高も考えられるがジグザグの夏道が快適そうに見える、迷わず歩き始める。この時期砂利道は雪解けにより結構柔らかく歩きづらいが雪面と夏道のミックスなのでどうにかこなせる。4月の午後はまだ日はそう長くない、幾分暗さを感じてきた頃、斜度が少しなるくなってきた、ピークだ、もう高度計をみる づく は無い。視界が平坦になってきた、長かった、やはり長かった、時計は14時50分誰もいない雪倉山頂で喜びと疲労感を一人で味わう。
 

 山頂より南白馬岳富山側と清水岳
 
 充分パノラマを堪能したらスキー下降、本日のメインイベントだが、、、滑る体力はもうあまり無い、だがやはりくだりとなれば気力もだんだん涌いてくる。念のため無線で蓮華温泉を呼び出してみる、すぐ返事があった、(心配していた)との事、(すみません、バテテ遅れました)お詫びをいい小屋までの予定を送信し下りにかかる。午後3時、当然ながらアイスバーンとクラスト気味の難しい斜面がしばらく続く、高度が下がるにつれ程よい雪質と変化していく。標高差約1300mの滑降は快適だ、瀬戸川の渡りに到着する頃は夕闇が感じられ、足はパンパン。さて、ここからは惰性で小山までの登り返しと水平移動の1時間、シールをセットし1470m高度までのゆるい登りを開始する、時計は午後3時50分をさす。カモシカやウサギ、熊?などの足跡が点在する斜面をじゃっかんの登りで移動する事40分ようやく蓮華温泉キャンプ場の炊事場の赤い屋根がポックリ確認できこの先がロッジだと思うと目の前にビールの映像がチラチラしてくる。
 

 尾根状の林をくぐると蓮華温泉が
 
 鼻を突く硫黄の臭い、後はビールと湯船が待っている、急斜面を滑り込んで小屋に無事到着、時刻は午後4時50分、約9時間の移動はここで止まった、、、、。
 

   二日目
 昨日の乳酸と昨晩の酒が残る疲労こんぱいの体を起動させてカムバックの行動に出る。朝風呂を浴びた体はポカポカ、予定どおり一路天狗の庭経由白馬大池への急登というルートでこの日の第一歩がスタートした。乗鞍への登りは全体的に急斜面だ、昨晩のロッジでの話や久方ぶりにあった主人田原さんとの会話を思い出しながらなるべく直登できるところは最短で行く。しばらく登ると雪倉が右に見えてくる、大きい事は分かっているが昔この山でオリンピックをやろうと話した事があると聞いた事がなるほどと思わせるぐらい雪倉はスケールがあるとしみじみ感じるひとときだ。右に雪倉を見ながらの急登が3時間は続くだろうか。
 

 雪倉、小さく赤男、朝日、そして五輪へ
 
 振り向くと下に温泉の赤い屋根が小さく見える、天気は快晴気温は2℃といったところだ。7時30分に歩き始めてようやく斜度が緩くなってくるとそこが天狗の庭だ。ここで温泉に大きく手を振りサヨウナラ、白馬大池までの最後のスパートをかける。雪倉ともあと少しでお別れだ、お天とさんもだいぶ高くなってきた時刻は11時、あきらかに前方が開けてきてそこが湖面である事がわかるほど平らな景色になってくる。よく見ると右手になにやら煙突のような突起物が、おう、屋根の峰頭もある、そう白馬大池山荘がこの時期まだゆきに埋まっているのだ。湖面を時計回りに左橋の方から乗鞍岳ケルン目指して移動、登高する。今日は土曜日で入山日だ、船越の登りには10数人のスキーヤーが登っている、小蓮華も眩しい。

 白馬岳を望む白馬乗鞍ケルン 

蛇文岩の間をクネクネと登る事30分、天狗原、乗鞍北面をツボで登ってきた沢山のゲレンデスキーヤーが突然現れやがて右にケルンを確認するとこの1泊2日の充実ツアーもフィナーレとなる。後は白馬の山麓を仰ぎながらビールとラーメンを食らい、白馬乗鞍北面だけはキッチリ滑り、栂池スキー場をぐだぐだと滑るだけだ。

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杓子岳

 白馬三山、いつ見ても整った姿を、雄大な姿を麓に暮らす、また訪れる人々にその圧倒的な存在感で魅了する三つセットの山岳だ。白馬、そして鑓は主役脇役といった役柄で、真ん中の杓子岳はさしずめアクセントと言ったところ。今回はその杓子岳を滑る。正面大日向、あるいは杓子沢付近から見上げる杓子はいかんせん急と言うイメージしか発見できない、どこを滑るかというルート検索をすれば正面は殺人的な攻略を考えなければ踏破はできない事は一目見ただけで誰でもわかる。可能性はひとつ、北ピークから杓子沢へ入り込むルートだ、これしかない、、、と何回かそこを通過したときに決めていた。6月、高気圧がしっかり白馬上空を支配する気圧配置の時我々はヘッドランプで猿倉を出発していた。メンツは3人いつもの3人だ。KSが板も真新しくR社のを新調してきた、野郎ヤルナー気合いが入っている。この時期雪の上には小枝や木の皮が風で飛んできてるし、何より石が場所によれば真っ黒なくらい乗っかっているとこもあるくらいスキー板にはかわいそうなくらい残酷なコンディションだ。よく新車を持ってきたな、そんな事を考えながら大雪渓、小雪渓、丸山と順調に登高し夏道縦走路を歩き出した。すぐ杓子への分岐が来た、正直言って夏も含め杓子岳へ登った事は無いのだ、ここは通常エスケープ、ここに登る登山客はあまりいない。だから新鮮な道だ、赤くサクサクした細長いようなおもしろい砂利道がジグザグと続く。15分程か、ほどなく杓子稜線に着くと、南に道標があった(たしか)、なるほど麓から杓子の平らな稜線が特徴だが確かに平らが見通せる。左には杓子尾根がスーッと続く。白馬、小蓮華が奇麗だが今いるところから東、東面は見れないというか確認できない、急なのだ急だからだ。少し緊張してきた、いけるかな、、、??不安はいつもある、が、ここが今までで一番キツイと確認できたのは懸垂下降で少し高度を下げてからだ。杓子尾根の起点に見るからにビレーポイントとなる三角形の三角錐の尖った岩がある、おう、あれだ、捨てザイルがグルグル巻きに残っているのが確認できる。強度を確かめてそこにカラビナをセットし懸垂下降のセット、2人をザイルいっぱい下ろすも少し長さが足りない。着地点が平という事を確認させ飛び降りる事にした。雪解けがここでも確実に進んでいる、パックリ開いたシュルンドは飛び降りれる広さだったから良かったもののもう少し開いていればここはエントリーには無理だったな、、。そう感じた時は3人とも板を履いていた。ん〜急だな、、、急だ。いつもそうだが白馬の山域のエントリーする稜線付近では時間の経過とともに斜度感が麻痺してくる、ここでもそうだ、見ているうちにゲレンデの急斜面程に見えてくる。まーそうでもなきゃおりれない。いつのまにか皆さんストレッチタイムに入っているが、俺は足がツリそうでもう筋は伸びない。ヘルメット、ブーツスキーモード、、チェックを入れてさあ行くか、雪は柔らかく、上手くターンができない、、、、代わる代わる滑り降りる深く潜れば足底にガツンと岩が当たるところもある。100M程降りたか、新車のKSがトップを行ったその時、事件が起きる、いわゆる○○だ。ここでこの状況を説明する訳には行かない事をご理解いただきたい、、、。   
  1  時  間  後
 

 我々3人は無事長走沢を下降していた、振り向けば杓子がテカテカと逆光に光る、スカイラインは真っ白と真っ青の美しいコントラストだが、1名の足どりは重い、、、山の神にしっぺ返しをくらった我々は反省材料を覚えつつも、この日で白馬三山を滑走したという達成感にも包まれるという微妙な感覚でビールをあおることとなった。

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白馬岳を滑る1

 主峰白馬岳は夏でも雪渓を歩けてお花も見れるポピュラーな山だがしっかりとした内容がある山岳である。この白馬岳もまた山岳スキーでは入門のポストである。白馬大雪渓を登 りまた大雪渓を下る。これが先ず入門コース。5月の連休29日、県道白馬岳線は通常開通する。初めての方は猿倉で前の日に1泊すればいい。早朝大雪渓を登り出す。白馬山荘も時を同じくして連休初日にしてオープンとなる。山スキーを愛するヤマヤにとってはこれに勝る朗報は無いだろう。登って、飲んで、泊って、滑れるのだ!。是非皆さんやって下さい。

 さて、今回お届けするのは、そんなポピュラーなスタイルとはうらはらに行った2つの、いわばマイナーなレポートである。白馬岳には積雪期だけに与えられる登攀ルートが幾つかあるがメジャーなのが主陵である。僕もこの主陵を前から1度は登らなくてはいけないルートといつも考えていた。しかし、自分自身登攀は得意な分野ではない。しかも積雪期。幸運にも大先輩と行けるチャンスが来た。しかも、白馬の人間なら当然スキーをかついでだ。主陵をスキーをかついで踏破しピークからスキーで滑り降りる。このうえないスタイルだ。スケジュール的に日帰りの行動となったことが内容の濃い山行となった。前日小屋開け当日の村営猿倉荘に泊り込。午前3時にヘッドランプでスタートする。庭先からまだ3メートルはあろう残雪の上の歩きからだ。白馬尻に5時前に着いたか。ここから右に白馬沢へ一旦入り込みそこから一路主陵へ向けての急登が始まる。ここからは、もちろんアイゼン、ピッケルでの登攀だ。主陵はピークからp8までの小ピークの連続でな りたっている。僕も初めてだったが最初のp8までのとっつきがこのルートのメインだとわかったのは登頂してからであった。がしかし、p8からの登攀こそスキーをザックに付け、右に左に高度感を楽しみながら一歩一歩頂上を目指す時間はスリルと快感の連続だ。天気 はピーカンの雲ひとつない空。ピーンと引き締まった放射冷却による空気。眼下に広がる白馬の村のたたずみ。どこのどの場面をとっても素晴しい一瞬の連続だ!。3時間程そんな緊張を味わっただろうか。いよいよクライマックスp1への急登が始まる。 パートナーであるリーダーのYさんはトップを力強くピッケルとバイルで登っていく。ザイルはスタンバイしているがステップが良いということ、雪の状態が良いということでフリークライムで登る。スキーを背負っているのでいささかここは重い。足もん〜ん。つりそうだ!しかしあの上からはスキー下降だ。そう思うと力も湧いてくる。はるか後方には2パーティー眼下の大雪渓には人が列を成している。世の中はゴールデンウィークなのだ。雪倉や剣がポンと目の前に見えたのは12時半ころだったか。つらかった登りもスキーを履いた瞬間に記憶 から急速に遠ざかっていく。レッツGO!

<写真説明:上から>「主綾取付き部分」「主綾ラストの登攀」

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白馬岳を滑る2


白馬山頂にて

稜線より100メートル下部

ひと休み

 さて、2001年にやった白馬岳正面二号雪渓滑降もマイナーレポートととしてここで紹介しよう。二号雪渓は白馬山頂より南に50M程の稜線から大雪渓出合いまで続く時期遅くまで大量の残雪を抱える麓から一番目立つ沢だ。エントリーは白馬山荘から山頂へのルート半ば松沢貞逸のケルンがあるがその上部だ。出だしは40〜42°はあるだろうそんなポイントだ。僕達の先輩降旗儀道氏もここを走破しているのは当然だ。あたりまえだがここまで来るのはいつものスタイルでいつものメンバーでいつもの良い天気の時だ。おっと!今回はなんとあのSAJデモの松沢幸靖君がメンバーです!彼はヒマだったのだ!さて、大雪渓、小雪渓といつものように登って来ると山頂ではいつものように疲労で足腰がひくひく言っている。ケルンから二号を覗いて見る。急だ。だれか滑った後がある。独りだ。俺達と同じバカがいるもんだとわらいながその1週間程経つであろうシュプールを見る。荷物をデポして先ずは頂上で休憩だ。4月に登った雪倉が緑満々となり北にたたずみ、立山剣がまだのっしりと雪を抱え南にかまえる。眼下にはちょっと厳しくなった主陵が延々と大雪渓まで続いている。5/20のことだ。1時間程眺めを楽しんだろうか。自然と体が緊張をおびてきた。さー行くか!スキーを付けストレッチをし幸靖から滑り出す。予想したとうり、膝までがぶるグサグサの雪だ。しかもかなり不安定だ。稜線から20メートルはあえなく踏み下ろし下降、しかもストックを逆さに斜面に差し込みながらの安全策をとった。そう時刻が12時頃にもなると朝から日の光を浴びた斜面はいくら 3000メートルの高度とは言えこの時期緩むのは当然だ。がしかし、その出だし直下をクリアするとそこはシュプールがほどよく書き込まれる程のバーンになっていた。少しずつスキーの感覚が戻ってくる。頂上直下におあつらえむきなテラスがある。メしだ。ザックを下ろしヘルメットを脱ぐ。この2号へエントリーした緊張の30分程をラーメンを食らいながら振り返る。眼下には白馬の村々がほのぼのとたたずみ北に小蓮華、東に戸隠、右に振り南には杓子岳のピンととがった針峰がド〜ンと迫っている。風は心地よささえかんじるほど温かい。最高の至福の時間だ。たまにどどっと白馬岳の皮膚の一部が剥がれ落石となって斜面 を転がり落ちて行く。だが意外に速度はつかないものだ。ゴロ、ゴロッと雪にうもれながら確実に下に落下してく。たっぷり1時間はそんな風景を楽しんだろうか。スキーをつけて下りを再開する。ここからは必ず一人が見張り役を行いながらのスキーとなるが、斜面の雪は意外に良い状態だ。気持ちは非常にいいがここの場所をわきまえてのターン、速度になるのは当然である。大雪渓までの距離は思ったよりもあった。出会い手前で幸靖が突然クレバスを発見!おっとあぶねー。よ〜く見ないとまったいらでそんな落とし穴がひそんでいるようにはとうてい見えない。やはりスピードには充分気をつけなければとしみじみ思った。無事に大雪渓に着きピーク〜エントリーした場所を高々と仰いで本日の山行も終わりとなった。

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白馬鑓を滑る


白馬鑓正面(レポート時)

白馬鑓北面(1997)

 白馬に生まれて白馬に育ちスキーを覚えた我々にとって目の前にいつも見える白馬の山々は常に変らずどっしりと勇敢にたたずんでいる。滑ってみたい。行ってみたい。あそこから見てみたい。そう思い、初めて滑ったのは小蓮華の大斜面だった。大きかったし、長かった。とにかく感激したし、興奮したのを今でも忘れないし、今でも西の山々を滑る時は何時でも同じ気持ちになる。憧れだった白馬鑓ヶ岳の左、大出原を滑ったのは24、5の頃だったと思う。大雪渓を午後4時に二人で登りはじめ白馬山荘に着いたのは夜7時半という無謀な登高だったことを忘れない。明くる日二日酔いのなか従走路を白馬鑓へ。そして大出原を滑った。温泉につかり今度は杓子沢 をアイゼンをつけ登りかえす。杓子、双子の尾根のピークより長走沢を豪快に滑った。15年程前の山行だが今でもその時の事は鮮明だ。さて、僕自身はそのころからこつこつと4、5月天候の良い日を狙っては毎年1本か2本白馬の山々を滑らせていただいているが中でも2000年にやった白馬鑓ヶ岳正面は、まったくまたとない良いコンデションの中でのひとつだ。他の山行も天気だけはいつも良い時にしか行なわないが、あそこだけは雪の状態が最大のポイントであった事は言うま でもない。麓から見ても誰でもはっきりとわかるが、ピークより目を下げてくると、まん中付近で極端に斜面が細くなる部分が有る。そう、そこが口を開ければザイル等を使い、ビレーポイントも確実にとり、安全を確保して下の斜面に移動することになる。別に大した事では無いように思うが落石の頻繁に起こる場所での長居は危険との接点が大きくなるのは当然だ。できればスキーで一瞬の時間で通過したい。5月中頃から、松川大橋付近より、双眼鏡で毎日観察をしたのは、当然だ。 2000年は、僕の記憶の有る限りでは、超異常とも言える程の残雪量だった。3月に降り続いた雪が猿倉下で大雪崩を巻き起こしブナの大木や、ヘリポートの資材小屋をもふっとばした。今でも その爪痕ははっきり残っている。そんなシーズンであったからこそ、その核心部にもたっぷり雪がのこっていた。5月の26日だったと思う。天気は午後あたりから雨と予想、12時まではもつだろうと思い、午前3時に集合出発、ヘッドランプで猿倉を出る。まだ白馬は正面にずっしりとその全容を見せている。大雪渓下部、金山沢出合からシール登高となるが、白じゃけた空が灰色がかっ  てきて天候が明らかに下り坂であることがうかがえた。9時頃、何時来てもつらいねぶか〜小雪渓を登り従走路に出るが、なんとまだ剣が槍がはっきり確認できる。雨は後2時間は来ないだろう。いそいでスキーをザックに付け一路白馬鑓を目指す。さすがにいつもここは足の出も悪い。ピーク に10時半前には着いただろうか。時折青空も伺える絶好の日和となった事は予想に反していた。4年程前にここから北側、いわゆる北面を杓子へ滑った時は膝まで埋まるぼそぼその雪だった事をふと思い出した。さて正面に移動し顔をのぞかせて見る。ん〜ん、急だ。がしかし良さそうだな。ついに念願の白馬鑓正面大滑降の時は来た。ちなみに今回のメンバーは僕を入れ3人。いずれも岩岳スキースクール中堅メンバーの、北林 茂、西村基男である。腹におこびれ(白馬語でおやつ)をかき入れスキーを付ける。かくして白馬鑓正面大滑降が始まった。もう滑りはじめたからには後戻りはできない。意外な程に上部は広い、そう思いながら比較的足場の良い雪面を軽快に滑る。下界から見上げれば白馬鑓は頂上付近が大きな菱形の雪田になっているが、滑りながらその見た目よりも広さ長さを実感しながらの下降を楽しんだ。あたりまえだが急だ。ゲレンデの急斜面は30°あってもせいぜい100メートル程だが、3000メートルの稜線近くでの斜度の長さは延々と思える程続く。いつも思うのだがいきなりマックスの斜度からスタートするのが山スキーだ。しかも冬の滑り慣れた時期から一月程経っていて感覚はいささか鈍くなっている状態で下降が始まる。いつも常にそうだ。さて気持ち良い斜面もくびれの部分に差し掛かりにわかに狭くなってきた。縦に深く溝が表れてきたのもうかがえた。核心部だ。思ったよりも溝が深い。人丈程はあるだろう縦溝はひとたび雨が降り出すとここを水が小石が濁流となって上から下へ落ちるのだろう。スキーのトップとテールがやっと橋渡しできる程の巾で状態の良い場所を行き来しながらの下降をだ。がしかし、クレバスをクリアしなくてはいけない状態を考えると、ナイスだ。頃あいを見て南へ鑓温泉の高度でトラバースを開始する。その前に撮影会!鑓温泉はこの時期湯釜しか存在しない別天地だ。見えてきた、適当だが丁度いい高度だった。もち誰もいない。素っ裸になり鑓の湯舟につかる。時折頭上から1メートルもあろうか雪塊がどど〜んと湯釜を飛び越えて落下してくる光景はなんとも迫力だが、2度3度くるといささか危険を察知した。ビールこそ持ってこなかったが遅い昼飯を口にして大日向のコル、通称双子岩までの下り込と登り返しを行ない長走沢に滑りこんでヘッドランプでの登高開始から10時間の山行はおわりとなった。そうそう、この日鑓温泉下部で逆走して来た1パーティー3人と唯一すれ違った事 を報告しておきます。


白馬大雪渓
大雪渓を登り小雪渓より左稜線へ

白馬鑓ヶ岳
杓子岳をへて白馬槍へ

剣岳をバックに大出原(鑓南面)滑降
ピークより写真は白馬鑓南面大出原の大斜面
(後方立山剣岳)

白馬鑓温泉
鑓温泉で極楽の時間

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八方尾根/唐松岳を滑る


八方尾根 4月

唐松岳 唐松沢 4月

 白馬連邦の中でスキー場から手軽に行けるいわゆる”山”のエリアは八方、五竜、そして栂池高原だ。 先ずはじめに、入門偏として八方唐松を御紹介しよう。八方尾根は御存じ、後にも先にも日本を代表す るビッグスキーエリアだ。広さもさることながら、その標高差は有に1200Mはある、日本屈指のスキー 場である。最上部のゲレンデより上部は索道こ無いが延々と滑走距離を稼げる高度まで斜面はつずく。 そう、標高2600M唐松岳までつずくのである。その唐松岳目指して登高し剣立山を仰ぎ山腹700M まで滑り降りるのがこの八方尾根山スキーの醍醐味であるのだ。何と言ってもその最大の魅力は白馬連邦 の中でもとりわけ急峻な岩綾でなりたっている不帰岳を常に右手の視界に入れ、その迫力ある東面に感激 しながら尾根筋を一歩一歩登る感動は本当に価値ある体験の連続だと思う。さらに、南に目先を振れば、 鹿島槍、そして五竜がど〜んといつのまにか登場している大きなおまけもついている。しかし、この八方 尾根も、ひとつ注意が必要である。時期、そう、尾根筋であるがゆえ4月も中旬になればもうところどころ 地肌が見えてきてしまう。遅くても4月20日以前に行いたい山行である。

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五竜岳

 五竜遠見スキー場は誰でも知っている白馬を代表するスキーエリアである。その五竜スキーエリアのリフト終点より上部へ続く尾根が遠見尾根である。シールを付けずにリフト終点より左えやや高度を上げながら地蔵の頭を左に巻き15分程で急斜面の下に取り付く。ここでシールを付け急な角度で細いぶなの木の荒い林を一気に登る事30分で一の背髪、50分で二の背髪をへて小遠見の頭に着く。途中やや痩せた両側に切れ落ちた部分があるので注意も必要だがそこをクリアした後は白馬山々を右に仰ぎ、正面に五竜白岳と本峰を見ながらの登高だ。白岳より続くなが〜い遠見尾根の向こうにポカンといや、ツ〜ンと突き出たいかにも高い山といういでたちの山が見えてくる。僕の大好きな山でもある。そう、鹿島槍だ。この五竜遠見尾根の山行は鹿島槍を見る為のスキー登高といっても良いだろう。後で解説をするとしてこの鹿島槍がこの後とてつもない印象となって登った人の心に焼き付くのだ。さて、小遠見の頭は踏まず夏道と同じに右手にトラバースをする事も時間の短縮になる事も付け加えておく。一本いや二本だったか,たしか大きな岳樺のある安部より中遠見へのややきつい登りが始まるが時間は20〜30分程度だ。左に鹿島がズド〜ンといきなり出て来るともうそこからは別天地!。中遠見までは右の白馬の山々など目に入らない程鹿島槍が素晴らしい。北面の下の雪渓をカクネ里と言うがとにかくそのピークと雪渓との高低差がほんとうに見事だ。というより圧巻だ。ここから先はおもむくままに遠見尾根を行けるところまで行けば良い。天気と足並みがよければ下りはいろんなコースが考えられるがいずれもかなり斜度がきついので景色を満喫する事をメインにおき、下りは登高したコースを下るのがベストだ。途中に登りで苦労した狭い箇所があるので、そーは言っても注意が必要な事は言うまでもない。

<写真説明>このように鹿島槍の眺望が圧巻である!

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